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介護に「正解」はありません
認知症は、ご本人だけでなく、日々そばで支えるご家族にとっても、大きな変化をもたらす病気です。「これで良いのだろうか」「どこに相談すればいいのか」と、不安を抱えながら毎日を過ごされている方も多いのではないでしょうか。
適切な情報やサポートを得ることで、ご本人もご家族も、より穏やかな日々を送りやすくなります。お一人で抱え込まず、周りの力を借りながら進んでいきましょう。
ご家族がよく感じる困りごと
認知症の方を介護するなかで、多くのご家族が次のような状況に悩まれます。
- 同じことを何度も聞かれ、どう答えれば良いかわからない
- 財布がなくなったと怒ったり、騒いだりして対応に困る
- 外出を嫌がり、家に閉じこもりがちになってきた
- 突然大声を出したり、暴言を吐いたりすることがある
- 薬をちゃんと飲んでいるか、管理が難しくなってきた
- 自分自身が疲れてきて、優しくできないことがある
こうした症状はいずれも、認知症の進行に伴って起こりやすいものです。ご本人が「嘘をついている」「わざとやっている」のではなく、記憶や感情のコントロールが難しくなっているためです。
まずはその背景にあるお気持ちを少し理解するだけで、
対応が変わることがあります。
症状別の対応のヒント
同じことを何度も聞く場合
認知症によって最近の記憶が保てないため、自分が聞いたことも数分後には忘れてしまいます。「さっき言ったでしょ」と返しても、記憶障害がありますので、覚え続けてもらうのに効果はあまりないかもしれません。紙に書いて一緒に確認する、カレンダーに予定を書き込んで見せるなど、言葉以外の方法で伝える工夫が効果的です。こだわりが続くようであれば、話題を変えたり、気分転換に外出してみたりするのもひとつの方法です。
置き忘れ・しまい忘れがある場合
「誰かが盗った」と言い張ることがありますが、これは認知症の症状のひとつです。「そんなものは知らない」と突き放すのではなく、時間があれば一緒に探してみるのはどうでしょう。そして、本人が自分で見つけられるように手助けしましょう。本人の不安な気持ちを受け止めながら対応することが大切です。
意欲がなく、閉じこもりがちな場合
「迷惑をかけたくない」「自分にはもうできないことばかりだ」という思いから、外出や人との交流を避けてしまうことがあります。
できないことよりも、できることを一緒に見つけ、役割や出番をつくることが、本人の自信と生きがいにつながっていきます。
怒りっぽく、暴言が出る場合
うまく思い出せない、うまく言葉で気持ちを伝えられない焦りや不安が、怒りや暴言として出てくることがあります。間違いや失敗をすぐに訂正するのではなく、少し距離を置いて、本人の気持ちに寄り添った声かけを心がけましょう。
ご本人の自尊心を大切にした関わりが、
感情の安定につながります。
利用できる支援・相談窓口
介護で迷ったとき、お一人で悩まずに相談できる窓口や支援があります。
内容によって相談先が異なります。
| 病気・薬のこと | 担当医師・看護師へ |
|---|---|
| 症状への対応や日常の工夫 | 看護師・介護サービスのスタッフへ |
| 介護サービスや地域での生活全般 | ケアマネジャー・地域包括支援センターへ |
| どこに相談すれば良いかわからないとき | 地域包括支援センター・医療ソーシャルワーカーへ |
| 同じ立場の介護者と話したいとき | 認知症の人と家族の会・認知症カフェ(オレンジカフェ)へ |
介護保険サービスについて
介護保険を利用すると、さまざまな専門家のサポートを受けながら、ご本人もご家族も生活しやすくなります。
利用の流れ
市区町村の窓口または地域包括支援センターに申請 → 要介護認定を受ける → ケアマネジャーと相談してケアプランを作成 → サービス利用開始
利用できる主なサービス
- デイサービス(日中の通所介護)
- ホームヘルパー(在宅での生活支援)
- ショートステイ(短期間の施設入所)
- 訪問看護・リハビリテーション
- グループホーム(認知症対応の共同生活介護)など
利用料はサービスによって異なりますが、原則として費用の1割が自己負担となります。利用料が高額になった場合は、申請により払い戻しを受けられる制度もあります。くわしくは市区町村窓口や地域包括支援センターにお問い合わせください。
認知症カフェ・インフォーマルなサポート
介護保険などの公的サービス以外にも、地域にはさまざまな「場」があります。
認知症カフェ(オレンジカフェ)
認知症の方とご家族、地域住民、専門家が気軽に集まり、お茶を飲みながら話せる場です。情報交換や息抜きの場として、全国各地に広がっています。「ちょっと話を聞いてもらいたい」「同じ悩みを持つ人と話したい」という方にも気軽に利用できます。
家族会・介護者のつどい
認知症の方を介護する家族が集まり、体験談や悩みを共有する場です。同じ立場の人の話を聞くだけでも、「自分だけではない」と気持ちが楽になることがあります。
ボランティア・地域の見守りネットワーク
地域によっては、認知症サポーターや民生委員、自治会などが連携して、日常的な見守りや声かけを行っています。外出時の付き添いや買い物支援なども、地域によって利用できる場合があります。
介護するご家族自身を大切に
認知症の方とそのご家族が「合わせ鏡」と言われるように、認知症の方を支えるご家族が、心身ともに健康であることが、何より大切です。「もっと優しくしてあげたい」「こんなことで怒ってしまった」と自分を責めてしまうこともあるかもしれませんが、それはそれだけ一生懸命に向き合っている証です。正解探しや間違い探しに注力してしまうと、かえって負担が大きくなることもあります。手を抜けるところは抜いて完璧にやろうとしなくて大丈夫です。介護サービスや地域の支援を上手に活用しながら、ご自身の時間や休息も大切にしてください。
ご家族が笑顔でいられることが、ご本人にとっても一番の安心につながります。
一人で抱え込まずに、まず誰かに話してみてください。
認知症のご家族への対応や介護の悩みもお話しください
なかやまメモリー・メンタルクリニックでは、ご本人だけでなく、ご家族だけでのご相談も承っております。当院は、認知症専門医が在籍し、高齢者の精神疾患に幅広く対応するクリニックです。対話を大切にした診療で、患者様とご家族に寄り添います。
